前回の記事を出してから、議論チャットへ招待され、参加しております。
はじめは要所で意見をいうぐらいに留めようと思っていましたが、気づけば、長文をたびたび投稿する、ある種の「常連」となっていました。
これだけ議論に参加してながら、いまさら「意見を言っただけの部外者」という顔をしても通用しなくなってきていると感じています。

シレンTAルール改定、特にフェイ問解禁に端を発して、いろいろな意見を目にしています。
そこで、私の考えを表明しておきます。

その前に、私の立場について触れておきます。

KENTの立場

  • 前回の記事を書いた時点で、すぐに議論への参加に招待され、参加しました
  • その時点で、結構な量の過去ログがあり、読みました
  • 何度も議論に参加しましたが、いわゆる決定権を持つ人ではありません
    • スケジュール感覚は持っていません
    • 草案を書いたことはありません
    • 改正箇所のいくつか(ほとんど?)は参加時点で決まっていました
  • KENTは以下の方針で議論に参加しています
    • 前回の記事の内容のいくつかは、議題として提案しました
    • それ以外の議題は、意見を求められた場合に、発言しました

なお、議論のログの公開は決定しております。いつ、どのようにかは私は把握しておりませんが、私のしたことは、そのログを見ていただくのが最も正確かと思います。

フェイ問について

まず言わなければならないこととして、フェイ問の安易な解禁は誤りだったと思います。
フェイ問は解禁しても初心者がやるもの、一定以上のプレイヤーはどうせ利用しないと私は決めつけていたのは確かです。

今は、プレイヤーの多くにとってフェイ問ループが妥当になる”危険がある”以上、無闇に解禁すべきではないと考えています。解禁するのであれば入念な研究が必要であり、その時間がないのであれば、禁止のままとするのが妥当だと考えます。私自身はまだ、”本当に”フェイ問の解禁が危険か半信半疑ではあります。が、半信半疑ぐらいであれば、そしてこれほど問題になるのであれば、無理に解禁する必要はない、現状維持で良い、と考えています。

ともあれ、私は「解禁しても一定以上のプレイヤーは利用しない」という(誤った)考えを土台にしました。ですので、「現行ルールと極端に変わるような変更はしない」という方針と矛盾はないと思っていましたし、疑問には思っていなかったです。
逆に言えば、私は(そしておそらく他の議論者も)「現行ルールと極端に変わるような変更はしない」という方針は一貫して取り続けているといえます。
目にした発言のいくつかは、ここを誤解されていると私は思っています。

私は、記録狙いではフェイ問は一切使われないという考えを土台にしていたので、「TMTAの定義の明確化」「ルールのシンプル化」「初心者のプレイの幅を広げる」といった他のメリットを重視し、解禁すべきだと考えていました。
この論理展開はもちろん、土台が崩れれば、結論が崩壊します。大会などで、フェイ問ループをする可能性が一定高いのであれば、やはり解禁は避けたほうが良いと思います。

ご理解いただきたいのは以下の点です。

  1. わがままに新ルールに変えたいと思っている人はいません
    • 良いものにしようと思っています
  2. フェイ問解禁の流れとなっていたのは事実ですが、それは「新要素を入れたいから」という理由ではありません
    • 解禁しても一定水準以上のプレイヤーには影響ない、という軽率な認識が前提化し(繰り返しですが、ここは反省すべき点です)、別のメリットから解禁が検討されていました
  3. わたしたちは人間です。過ちを犯しますし、心もあります
    • 集団であっても、人間はときに過ちをしてしまいます。そして、そうした過ちは、集団内からでは気づきにくいです
  4. 皆さんは、その過ちを指摘する権利も、修正する側の立場になる権利もあります
    • 部外者から議論する側に回った私は、少なくともそう思えます
    • 同様に皆さんは、見限ることも、侮蔑することもできます。ただ、その際はどうか3.を思い出してください
  5. 現在のところ、フェイ問解禁は誤りであったという議論に修正されています
    • これを「そんな危険性も気づけないのか」「コロコロ意見を変えるな」と批判することは可能だと思います
    • しかし、「施行後のクソゲー化を防ぐために軌道修正をした」と考えることも可能だと思います
    • いまや”内部”の私から言うべき言葉ではないかもしれませんが、どうか「軌道修正した」とみていただければと思っています

良いルールとはなにか

以下は、フェイ問解禁の話題をさらに広げての、私の考えの表明です。
現在、私は主に以下のような方針に基づいてルール改定の議論を追っています。

  1. 現行ルールと極端に変わるような変更はしない
    • 旧ルールと比較可能な程度の変更すべき
    • ただし、旧ルールから少しでもルールを改定する以上、新ルールと旧ルールは厳密には比較不可能である
    • それでも、旧ルールと新ルールは、それなりの精度で比較可能にすべき
  2. 公正なルールとする
    • たとえば、エミュレーター、タイマー管理、不正行為の取締り、などが議論対象です
  3. 明確なルールとする
    • 禁止か曖昧ないくつかの技の線引きがメインです
    • 「意図した/意図しない」「バグか仕様か」といった判断の排除も含まれます
  4. シンプルなルールとする
    • 意図せず起こしてしまう失格行為を少なくすべき
    • 概要をつかみやすく、細則を追いやすく、変更に強いルールにすべき
  5. 指針がしっかりしている限りは決定を否定しない
    • 5.は特に、私個人の指針です(1.~4.も個人の指針です。なおこれらは nasutenさんの提示した指針 に矛盾はないと考えています)
    • 全員が納得するルールには永久にならないので、筋が通っていれば、全体の決定を否定しません
    • 一方で、全員がそう考えても逆に永久にルールは決まらないので、実態として私は、nasutenさんの決定を尊重しています

難しいことに、これらは相互に関係していて、ときに矛盾することがあります。

例を挙げます。
私が参加した議論の中で最も困難だったのは、フェイ問を除けば「メッキバグを解禁すべきか」です。メッキバグは、方針への矛盾を複数内包する問題でした。

メッキバグは、以下のような性質を持ちます。

A. 容易にバグを引き起こせる/意図せず起きてしまうこともある
B. 明確なメリットがある
C. SFC版/WiiVC版で挙動が異なる
解禁は明確にSFC版有利になるが、軽微ではあるがWiiVC版に有利な別のバグがあり、禁止はWiiVC版が総合的に有利になる

「4. シンプルなルールとする」の観点より、A.をみると、救済を考え解禁すべき、となります。一応説明すると、メッキバグは「-1修正かつメッキ状態」の武器・盾が異常な値段で売却できてしまうバグです。この、-1修正かつメッキ状態の武器・盾を売るという状況は、「呪われている場合-1修正である」「メッキは呪いを解く」「メッキは原則店売り」という背景もあり、自然な動作で誕生してしまいます。通常プレイでも容易に遭遇しえますし、RTA中も気を抜くと売ってしまいかねないことは理解できるかと思います。
しかしB.をみれば、「1. 現行ルールと極端に変わるような変更はしない」の観点に本当に矛盾しないか、議論すべきとなります。メッキバグは強すぎないか、という観点ですね。
さらに、C.をみると「2. 公正なルールとする」の観点が邪魔をしてきます。

最終的に、「1. 現行ルールと極端に変わるような変更はしない」を重視し、メッキバグは禁止となりました。妥当だと思っています。
しかしこれにより、「4. シンプルなルールとする」を少し犠牲にしました。呪われた武具をメッキで解呪し売るのはやってしまいがちなプレイですが、失格になります。しかも、WiiVC版のユーザにいたっては、正常な値段で売却できるにも関わらず失格になります。
そして、「2. 公正なルールとする」も少し犠牲にしました。わずかでも有利にプレイしたい人は、WiiVC版の購入を強いられます(もうネットストアは停止して購入できないにも関わらず)。

このように「良いルール」を考えると、ときに、取捨選択を強いられることになります。そしてその取捨選択は、どうしても主観的になります。現に、私がこうすべきだろうと思っていたいくつかのことは、他の主観ではそうでもないことになり、却下されています(無論、それで良いと思っています)。

ここで、フェイ問を考えると、私の過ちは理解しやすいかと思います。少なくとも当時の私は「1. 現行ルールと極端に変わるような変更はしない」には抵触しなかったのです。そうなると、残る観点での検討となります。結果、私は解禁派となりました。
「1.に抵触するか試走しないと判断できない」という考えをただちに持てた方もいるかもしれません。繰り返すように、私はそこには至りませんでした。

続・良いルールとはなにか

「そもそも、別にルール新しくする必要なくない?」
とお考えの方はいるかと思います。
それについて、前回の記事で書いた「分かりやすいルール名にしてほしい」について補足しながら、個人的な考えが強く滲んでいますが、お話します。

この先、新たに強力な技が確立されるかもしれません(個人的には、怨念杖は掘りがいがあるように思えています)。
それはもしかしたら、旧ルールの「バグ禁止」という(曖昧な)禁止事項に引っかかるような、おかしな挙動を示しているかもしれません。
その時には、また、議論をすればいいと思っています。明確なルールがあれば、その土台の上で議論ができます。

これこそが、新ルールを採用する明確なメリットだと私は考えています。
言い換えれば、「変更を許容できるルール」が「良いルール」の条件だと私は考えています。

というと、こうお考えの方がいるでしょうか。
「そんなことはない。今までずっと同じルールでやってきた。これからもできるはずだ」と。
それはそうかもしれません。実際、新ルール制定後も旧ルールで走る方はいるでしょうし、当たり前ですがそれを止めることはできません。
しかし、ルールというのは老朽化するものだと私は考えています。ずっと同じゲームをしていても、です。
現ルールは、わたしの目には、経験からくる不文律が多く存在しているように感じています。言い換えれば、旧ルールもまた、常に変わっていたのです。ただし、曖昧な形で。

ですので今一度、ルールを整理し、分かりやすい名前にし、バージョン管理をしっかりしていく。その価値は十分にあると思っています。

もちろん最高のルールにして世に出したいと思っています。が、新ルールには、いま誰も問題にしていないような致命的な問題が潜在している可能性はあります。そうでなくても、ルールは老朽化していきます。
そのときは、ルールのエラッタを出すべきです。そしてあと一歩で、フェイ問解禁はエラッタ第一号となるところだったかもしれません。

今回、過ちは、「こんな意見がある」というある種のタレコミによって気付かされました。その発言は残念ながら、私たちのことを愚か者だと思っていたようですが、一度でも過ちをする人間すべて愚か者だとするならば、愚か者なのだろうと思います。

もしよろしければ、過ちは過ちとして、指摘しにきてほしいと思っています。
議論への参加手続きは簡単です( nasutenさんに言うのが最も簡単だと思います )。

なぜいまなのか

最後、
「なぜいまなのか」「なぜ、(過ちを犯すような)人たちがやっているのか」
そう思う方もいるかもしれません。この疑問への私なりの考えも書いておきます。
この疑問への私なりの考えはシンプルです。

  • 現在のルールは、シレン総合が整備したものです。
  • 議論の中にはシレン総合で、次回大会を運営される方がいます(私は違います)。
  • その運営をするにあたり、その運営主体が、ルールを再度、整備しようとしています。

以上です。簡潔すぎる印象を持たれるかもしれませんが、それ以上の理由が必要だと私は思っていません。

たしかに、私は前回の記事で、平時でも使えるようなルールにすべきと言いました。そして実際に、平時でも新ルールを使うプレイヤーはいると思います(同様に、旧ルールを使う方もいると思います)。
平時で使えるようなルールというのは重要ですが、ある意味で副次的な意味でしかありません。(なお、平時の記録を管理することにシレン総合が本腰を入れるようであれば、今回の議論はその足がかりになるだろうとは個人的には思っています)

以上です。長文お読みいただきありがとうございました。