シレンRTAルール整備に対して
ルール改定の動きがあるようですね。
情勢に疎くて、どこでだれが活発に議論されているかを知りませんが、以下の記事で詳しく提案されています。
https://ch.nicovideo.jp/nasutmp/blomaga/ar1907667
端っこで活動するプレイヤーとして、言いたいことを言います。
(最近はそこそこやっているので、なんか言っても自分で自分を怒らなくて良い気がする!)
立場1 「大会ルール」か「共通ルール」か
提案は「シレン大会TA規則議論」という名前になっています。
ですが、わたしは、勝手ながら、これを機に「大会ルール」ではなく「共通ルール」としてほしいと願っています。
もちろん、今ままでは、「大会ルール」という名称はメリットも多かっただろうかと思います。
主に「これは今回の大会のルールであり、今後も柔軟に対応しうる」といった意味で。
しかし現実には、シレン総合が規定したルールは、ほとんど公式ルールとして、定着しています。
そして、大会以外でも、日常的にRTAは行われており、そのルールは主としてシレン総合が整備した「大会ルール」が用いられています。
しかし提案者さんも言う通り、大会ごとにルールが変わっていたりします。
これが何を意味するかというと、「共通ルール」が不在になっている、ということです。
日常的に走るRTAにおいて、指針とすべきルールは、ぼんやりとしたものになっていると言えます。
そこで、今回の改定にあたり、「大会ルール」などという曖昧な言い方ではなく、「公式ルール」もしくは「共通ルール」を名乗って良いのでは、と私は考えています。実態と建前は、融合できるならしたほうが良かろうと思っています。
立場2 プレイヤーは自分勝手
わたしの立場としては、RTAにおけるルールとは合意の土台であり、競技への参加者が同じルールでやっている限り、なんでも良いと思っています。ただ、”競技への参加者が同じルールでやっている限り”というのが非常に厄介で、頭を悩ませることだろうと思います。提案には、大変な労力と覚悟があったことだろうと思います。敬服します。
今回の提案が制定されたとしても、あくまで「ニコ生のシレン総合によって提供されたルール」という以上の意味は持ちません。無論、今までの「ニコ生のシレン総合のルール」も、「ニコ生のシレン総合のルール」という以上の意味は持ちません。どのルールも、使う使わないは走り手の自由です。
極端な話、チートコードが入った状態からのデバッグツール許可のルールを僕が制定して、これが「孫悟空ルール」だと豪語しても良いわけです。まぁ、孫悟空ルールは誰も走らないで終わるでしょうが。
権威(や緻密さや面白さ)が違うだけで、「ニコ生のシレン総合のルール」とたった今5秒で制定した「孫悟空ルール」は、同列に語ることができるものです。
プレイヤーは、本質として自分勝手です。
なので、新ルールが魅力的であれば、それを採用し、前の方が魅力的であれば、旧ルールで走り続けます。
(RTAはスポーツですので、競技人口が多い・もしくは多くなるということは、それ自体が魅力となるでしょう)
ぼくはプレイヤーです。
現時点で提案している方々を信頼しており、新ルールが採択されればそれを採用するかと思いますが、やはり旧ルールを採用する可能性は残り続けます。
提案されているルールへの所感
現在提案されているものは、「提案」というよりはむしろ「整理」といった類のものであるという印象を受けます。
現在なんとなくで動いているものに明確な線引きをしたい、という意図を感じます。
たしかに、いくつかの事項は、パワーバランスの変更にあたるものもありますが、その変更幅は大変微小であり、許容範囲かと思います。
何より、現行ルールは「さきに見つかっていたグリッチは禁止され、あとに見つかったグリッチは許容される」傾向にあると思っており、今一度、整理する意義は十分にあると考えています。
反対する理由はありません。とても困難ですが、とても有意義であり、繰り返しですが提案されたことに敬意を表します。
さて、もし議論が紛糾しているならば、むしろこの「整理」の部分ではなく「好機とみての改変」なのでは、と思っています。
つまり、「今まで不満に思っていたけど、”どうせなら”これも改変しないか」という意見が出て、紛糾している、という可能性です(冒頭の繰り返しですが、どこで活発な議論になっているかわたしは知りません)。
これはこれで難しい問題でしょう。私も、それでいえば言いたいことはあり、後述します。
改変に対して、私の立場は冒頭言ったとおりです。すなわち、面白そうであれば乗ります。
ただ、議論があまりに長引いて疲弊するようであれば、まずは「整理」で手打ちにする、というのは良い判断だろうと私は思います。
お願いしたいこと
分かりやすいルール名にしてほしい
言いやすく、直感的で、覚えやすく、バージョン管理が可能な「名前」がほしいです。
「新ルール」という名称はかなり良くないと思っていて、今後「新ルールの新ルール」が登場する可能性があるからです。おすすめは、
- わかりやすい(公式でも使う)通称
- わかりにくくても良いので正確な、正式名称
の二本立てです。「version番号」と「コードネーム」で分ける、ソフトウェアのバージョン管理でもよく使われる手法ですね。
勝手ながら提案するのであれば、
- わかりやすい通称
- nasutenルール
- 令和ルール
- 共通ルール など。「共通ルール」が特に理解しやすい気がします。
- 仮にさらにメジャーアップデートが入る場合は「共通二版ルール」もしくは単に「二版ルール」とか
- わかりにくくても良いので正確な、正式名称
- 「ニコ生総合ルール ver2.0.0」
- 「シレン総合TA規則 ver2.0.0」など
- どんな微細な修正であっても、数値を上げることでバージョン管理する
- 参考 : https://semver.org/lang/ja/
とかでしょうか。「通称」はあったらいいなぐらいですが、「正確な正式名称」は結構、重要度は高いと思っています。
参照しやすい形でドキュメント化してほしい
先人によって、すでによくまとまったものがあります。
https://w.atwiki.jp/sfcshiren_nicolive/pages/41.html
https://w.atwiki.jp/sfcshiren_nicolive/pages/120.html
ただし、以下の点で改善の余地があろうかと思います。
- あくまで「大会のため」という方針で書かれている
- 日常的に行われるRTAのためのルール提供としての役割を完遂できていない
- 大会特有のルールは「大会に際して」という項目を作って書けば良いのでは、と思います
- 差分の参照が困難
- ある日付での、ルールの詳細な閲覧が困難
つまり……
- 枠の詳細文にルールのリンクを貼って、「これでやっています」と分かりやすく立場表明したい
- コメントで「どういうルールでやってるの?」「そんな泥棒して良いの?」みたいな質問が来たら、「[通称]でやってるので詳しくはリンクみて」と言いたい
議論したいもの
内部のルールについては、あまり異論はありません。以下はすべて、盤外の話です。
枠またぎによるタイマーストップの禁止
今のニコ生システムでは不要だし、メチャクチャに残念なルールだと思っているので、明確に禁止として良いと思います。
いかなる理由があっても、タイマーは止めてはいけないと思います。
これは、結構強めに求めています。
タイマー至上主義の撤廃、実時間至上主義の採用
これも、結構強めに求めています。
現在の常識は「タイマーがすべて」だと思っています。つまり、タイマーを押すのが遅れれば、記録タイムそのものも遅くなる、ということです。
これは盤外戦術であり、大変微妙なルールだと思っています。
録画データを参照して、正確な実時間でタイムを算出すべきだろうと思います。少なくとも、日常的なRTAではそうであるべきです。
ただし、大会に限って言えば、運営の負担の観点から、例外的にタイマー至上主義を採用して良いと思います。
エミュレータの禁止
具体的には、
- 互換機ではないSFC本体 + ROM
- WiiのVC
どちらかのみに限定する、ということです。エミュレータによる微妙な差異がないとは言えませんし、不正のしやすさは段違いです。これを未然に防ぐ意味で、エミュレータの禁止は意味があると考えています。上記とキャプチャーボードを揃えるのは、特段高い買い物でもありません。
上記以外の一切の禁止を求めますが、これはやや極端な意見であることを自認しています。おそらくグレーのままにしようという結論になろうかと思いますし、それに対して深追いするつもりはありません。
ツール類の禁止可否
これは難しい問題です。しかし、検討の価値はあります。
ゲームが提供する映像以外を用いた、ツールの取り扱いについても、可能であれば言及がほしいです。
最も分かりやすい例は、掛軸裏の洞窟で使われる、「斜め軸確認ツール」でしょうか。
あれは明らかに、盤外のテクノロジーによって立ち回りが左右されます。それは許されるのか。
ほかには、
- 「シャッフルダンジョン自動判別ソフト」が開発されて、それは許されるのか。
- 「吹き飛ばしの杖振りの音から、ダメージ音までの時間差から、何マス離れたかを判別するソフト」が開発されて、それは許されるのか。
- 「動画識別から、敵と殴りあったときの勝敗確率が瞬時に算出されるソフト」が開発されて、それは許されるのか。
- 「音声認識を使って、リアルタイムで識別状況を整理するソフト」が開発されて、それは許されるのか。
これらはいっぱしのエンジニアが頑張れば、決して実現できないものではありません。
それらがダメだとして、では、
- 「ダメージ計算機」は、ツールではないのか。
- ツールであるとして、では、コメントで計算をお願いしたらそれはツールではないのか。
- 「杖回数を簡単にメモできるExcelシート」があったとして、それはツールではないのか。
- 「ラップ計測タイマー」は、ツールではないのか。
はどうでしょう。線引きが難しい問題でもあります。
私の考えでは、線引きは難しいので、「エミュレータなどで内部メモリを参照しない限り(つまりはゲームが提供する音・映像のみを利用する限り)」一律に許可するのが簡単なのでは、と考えています。
あるいは、ホワイトリスト(許可式)でも良いでしょう。その場合、そのリストは慎重にならざるを得ず、更新の必要性を定期的に検討する必要があり、「知らずに使う」ケースが出てきてしまう可能性もあるので、運営の負担は上がるだろうと思います。
最後に
私は、シレン総合がどのような運営体制であるかを知りません。
どれぐらい議論しやすいのか、どういった意思決定プロセスがあるかも知りません。
ただ、どんなに風通しが良かったとしても、整備された意思決定プロセスがあったとしても、とても大変そうだなぁ、と思います。凄いことだな、と思います。
とりあえず、今は好き勝手言って応援するだけではありますが、ぼくの出来ることであれば、お手伝いできることもあるかもしれません。
願わくば、「面倒だからこのままで」ではなく、革新性がなかったとしても、何らかの改定があることを、端っこで望んでいます。
そして可能なら、魅力的であることも。