(公開日まで「宮崎駿が実写で出てきて2時間説教する」もあり得るような状態って面白過ぎるだろ…)

「宮崎駿の集大成」というべきか「宮崎駿のコラージュアート」というべきか、ともかく宮崎駿成分に満ちた映画だった。
絶賛勢は前者と語り、それ以外は後者と言うのかなという感じで、後者の感想のほうが多かろうと思う。

僕としては、「宮崎駿のコラージュアート」だと思ったうえで、それでも結構よい映画だと思った。

良く分からない映画だと低評価をつける気持ちは分かる。
たとえば僕は、アオサギの目的と行動原理が最後まで謎だった。
今思えば「ラスボスに主人公を連れてくるように頼まれていたのか」という感じなのだが、映画を観終わるまで謎だった。
おそらく、良く分からない映画だと感想を抱く人は、似たような釈然としなさを随所に感じたのだろう。
僕はそこまでではなかったが、これは多分、曲がりなりにもストーリーテリングの勉強をしていたからだと思う。
「これは伏線のようでそうではなさそうだな」「これは分かりにくいが伏線だ」と思う話の運びは正直多かった。

とにかく、これを80代が作るのは尋常じゃない。それだけは確実にいえる。
「次回作はさすがにもうない、これが最後の作品だ」そう信じて映画を観に行った。そして多分そうだろう。
だが今、不思議なことに、次回作を期待してしまっている。
それはなぜかと思って、気づいた。
この映画は創作の情熱に溢れていたからだ。荒々しかった。

若かったのだ。

この感想が頭をよぎって思わずゾッとした。